日本が直面する多死社会では、死亡者数の増加に対し火葬場や葬儀会館のキャパシティが追いつかず、予約の長期化や夜間帯の活用など新たな運営手法が求められている。家族葬・直葬を選ぶ遺族は7割近くまで拡大し、儀式を簡素化する代わりに故人の思い出を映像やオンライン追悼で共有するケースが定着しつつある。費用負担を抑えたい世帯に向け、自治体の葬祭費補助や生活保護ケースへの支援も強化され、火葬待機期間の短縮や遺体保全のための安置施設増設が喫緊の課題となっている。供養の選択肢も多様化し、永代供養墓や樹木葬、オンライン法要など物理的な墓地に依存しない供養形態が都市部を中心に拡大している。並行して、僧侶・司会者の人材不足に対応するためリモート参列システムやAI案内チャットを備えた会館が増え、遺族の心理的ケアや相続・手続き支援を含めた総合的な伴走サービスの需要が急伸している。供養に対する価値観が多様化するなか、地域コミュニティと連携した合同供養イベントやデジタル追悼アーカイブなど、新しい弔いの形が次々に試行されている。
直葬・家族葬の増加と多死社会への対応
- 記事提供
- Life Support Funeral
- 公開日
- 2025-11-10